ワクワクを彩る人の履歴書

ワクワクワークは、いつからでも私らしく生きること・働くことを全力でサポートする環境が整っており、年齢や経歴問わずさまざまな方が活躍中です。
実際に料理の資格をもっていなかった方や60代70代の方でも、これまでの人生経験を活かしてセカンドキャリア、サードキャリアで生き生きと働いています。
そこで、この連載では“ワクワクワークを彩る人たちの履歴書”と題して、教室にたずさわる方たちがどんな経緯でここにたどり着いたのか、人生のストーリーをご紹介していきます。

第8話思い込みの鎧を脱いで、自分らしく人生を楽しむ。認定講師大西くみさん【後編】

ワクワクワークは、いつからでも私らしく生きること・働くことを全力でサポートする環境が整っており、年齢や経歴問わずさまざまな方が活躍中です。実際に料理の資格をもっていなかった方や60代70代の方でも、これまでの人生経験を活かしてセカンドキャリア、サードキャリアで生き生きと働いています。そこで、この連載では“ワクワクワークを彩る人たちの履歴書”と題して、教室にたずさわる方たちがどんな経緯でここにたどり着いたのか、人生のストーリーをご紹介していきます。

第8話は前編につづき、「オーガニック滋養ごはん認定講師」をはじめとした6つの認定講師養成講座を修了し、豆料理研究家としても活躍中の大西くみさん(56歳)です。この後編では、自然食を探求するきっかけとなった出会いや、ワクワクワークに通い出してから起きた変化について伺いました。

軸を築いた自然食の大家・東城百合子さんの教え

第7話でご紹介したとおり、もがきながらも自分の内側にあった料理という生きがいを見つけ、自然派育児サークルでの活動が発端となり豆料理研究家として歩み出したくみさん。夫の転勤に伴い東京から仙台へと移り住むと、新たな出会いが待っていました。

「NPO法人『おりざの家』という食育推進と家族支援をおこなっているところで、自然食料理教室の助手とカフェのスタッフを探していると人づてに聞き、紹介していただきました。定番の郷土料理であるおくずかけや玄米おにぎりを提供したり、週に1度のランチを作ったり、オリジナルの豆料理を作らせていただいたり。そこの理事長がベースとしていたのが、自然食・自然療法の大家として知られる東城百合子先生の教えでした」

カフェおりざの入り口で。料理教室助手とカフェスタッフをしていた頃

おりざの家で1年半ほど働いた頃、夫の転勤で再び東京へ戻ることになります。そして、成城にあった東城百合子さんの料理教室「あなたと健康」に通いはじめます。

「じつはおりざの家と関わる前から東城百合子先生のことは知っていて、講演会にも行ったことがあったんです。おりざの家でもご縁があったし、住んでいる調布から成城までは通いやすい距離だったし、これは学ばなければと」

料理教室『あなたと健康社』で作ったメニュー。野菜の根をみじん切りにして粉に入れて焼いた『おやき』は必ず作り(右列真ん中)ごみはほぼゼロだった

東城百合子さんは2020年に94歳で亡くなるまで、生涯現役で自身が立ち上げた健康料理教室での講義を続けていました。若いときに肺結核から自然療法と玄米自然食によって回復されたことから、実際に病を患った方も多く訪れていました。厳しくも愛のある指導で知られています。

「2時間の料理教室のうち1時間以上は東城先生の講義で、私たち生徒は微動だにせずに聞いて教えを叩き込まれます。先生がよくおっしゃっていたのは、“根の如く枝葉は伸びる”ということ。すべてのことはお天道さまから繋がっていて、自分の根っこをしっかり育てることが大切。料理も基本が大事だからそこは外さずにやりなさいと。“苦労しなさい”とか“煮炊きをまめにしなさい”ということもよく言われて、厳しかったですが自分の軸がしっかりしたのはありがたかったなと思います」

多様性を尊重するワクワクワークとの出会いで変化

ちょうど1年ほど学んだ頃、偶然SNSでワクワクワークの広告が目に留まります。そこに書かれていた“自分らしい食の講師になりませんか?”というフレーズに惹かれ、説明会に参加。2017年、くみさんが49歳のときでした。

「講師養成講座なら今まで学んできたことを提供できるようになるし、わたしにも何かできるかもしれないと思いました。それと、自分でも活動はしていましたが、仲間が欲しくなったのもあって。サイトにあった写真の雰囲気もよさそうで、そういう輪に入れるかもという期待もありました」

当時はまだ認定講師も少なくマンツーマンで講義が受けられることも。講座修了後もすぐにアシスタントに入るなど、ワクワクワークに欠かせないメンバーのひとりとしてみるみるステップアップしていきます。

「ミーティングに参加したり、お話を伺うたびに本当に入って良かったなと思っています。ワクワクでは多様性をすごく尊重していて、“自分らしく伸びる”という言葉もよく出てくるのですが、以前苗美さん(創業者)が「ワクワクらしくないけどステキね!というのもいいと思うんですよ」とおっしゃっていて。なんて懐が広いのだろうと感動しました。東城先生のところと対極にみえますが、表現が違うだけで通じる部分もあって、食の在り方への理解も深まりました。」

多様性とは、お互いの違いを認め合うこと。そのためにまずは、自分自身を肯定する必要があります。自分のことを好きになってはじめて相手を認めるゆとりができる。そんな多様性を大切にするワクワクワークに通い出してから、周囲から“変わったね”と言われることが増えたのだそう。

「じつは入った当初は、“楽しくとは何事か!”という感じで、“楽しく”というのが馴染めなかったんです。わからないというか、素通りするというか。それが、ワクワクの人たちに触れていくうちに、あるときから“そうね、楽しくもいいよね”となって(笑)。もっと楽しくしてみようという気持ちが湧いて、1年の目標を “今年は楽しく、軽やかに生きたいです!”と決めたことも。こうあるべきという思い込みがあった自分の鎧を脱いで、少しずつ自分らしく楽しむように変わっていったのだと思います。

食に関しても、以前は手間暇をかけなければという意識があったのですが、今は蒸すだけとか茹でるだけと、時短でシンプルになりました」

軽やかに楽しみながら、日本の食文化を広めていく

「オーガニック滋養ごはん認定講師」を皮切りに、「卵乳製品なしおやつ認定講師」「食のお話アドバイザー」「おにぎりワークショップ認定講師」「常備菜認定講師」「子ども台所力育成講師」と6つの講座を修了し、現在はワクワクワークで養成講座の受講生の課題にコメントを入れたり、公式SNSで発信を担当したり、自宅でレッスンをするなど多岐に渡って活動しています。

「最初はコメントも真面目で堅い感じにしか書けなかったんです。でも、ほかのみなさんがとても軽やかで前向きなコメントをしているのを見て、少しずつ真似して習得して。そうするうちに語彙力や引き出しも増えていきました。コメントって誰かを励まし、応援することになるので、わたしの言葉で生徒さんの背中を押せたらうれしいなと思いながら取り組んでいます」

鎌倉本校のレッスンでおにぎりの握り方をレクチャー中の様子。

日本の風土や食の歴史にも興味があり、もともと流れている日本人の精神性に触れると感銘を受けるというくみさん。今でもワクワクワークの単発講座などで学び、成長を続けています。

「郷土料理や地域に根ざしたものが地方それぞれあるので、その文化や食は大切に繋いでいきたいという想いがあります。それと、今おにぎりキャラバンにも関わっているのですが、全国にいるおにぎり講師の方たちのそれぞれの地域での活動をもっとサポートできたらと考えています。ネットワークができれば、どんどんお米やお味噌汁の良さが広がりやすいし、自分で作るおにぎりが美味しいとかみんなで作ると楽しいとか、簡単なのに体にもいいということが自然と広まるといいなと思っています」

くみさんから感じられる真面目で誠実なお人柄と、何でも包みこんでくれそうな柔らかく温かな空気は、迷いながらも見つけたブレない軸と、自分を認めることで手に入れた楽しむ余裕から来るものなのかもしれません。ますます自由に羽ばたいていく、くみさんのこれからが楽しみです。


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  1. 第9話結婚より仕事ひとつに決めて突き進む。認定講師井口香織さん【前編】

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