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わたしとおにぎりとみかん~「私とおにぎりの思い出③」

わたしとおにぎりとみかん

私は子どもの頃お弁当に入っているおにぎりが嫌いだった。

理由は母のにぎる、そのおにぎりは
酸味の効いた味で固いものだったからだ。

幼い私は、その時分からなかったが
中学生になって自分でお弁当をつくるようになった時
はっとする。

少食だった私の小さなお弁当箱には、
いつも小さなおにぎり二つの隣に
半分に切った輪切りのみかんが入っていた。

「わたしはみかんが大好きだったから。」

果汁の染みたおにぎりに
母の想いを感じて胸が熱くなったことを
覚えている。

最近、気が向いた時に小学生の息子が
私におにぎりを作ってくれることがある。

具なしの塩おにぎりに海苔をつけた
シンプルなおにぎりだが
お米とお米の間に空気をふくませた、
ふんわりとしたおにぎりだ。

これがとっても美味しい。
また私ははっとする。

彼のつくる”いい感じ”にチカラが抜けた
柔らかなおにぎりと比べると
私のつくるおにぎりはぎゅっと固めなおにぎり。

「肩にチカラが入ってるんだなぁ、あたし」

息子に気づかせてもらいつつ、
あの頃の母も仕事に子育てと
チカラが入っていたのだと気づく。

息子のおにぎりを笑いながらほおばる。

あの頃の母に、いまの自分を重ねながら。

認定講師・太田妙子(Instagramはこちら♪)

 

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